一次産業の活性化

~日本の農業と食育は市民で守る~

日本が抱える現在の農業問題

~日本の1次産業を皆で守ろう!!~



日本の総人口は約1億2778万人で、65歳以上の高齢者が占める割合は約23%です(2011年総務省統計)。一方、農業就業人口のうち、基幹的農業従事者数(ふだんの仕事が主に農業)は、2010年は205万人でしたが、2011年には186万人と200万人を下回りました。65歳以上の高齢者が占める割合は59.1%で、全体の平均年齢は65.9歳まで上昇し、高齢化が進んでいます。また、農家数の推移をみると、2005年に300万戸を下回る284万戸、2012年には232万戸と52万戸減りました。
これは、これまで日本の農業を支えてきた昭和ひとけた生まれの世代が農業現場から引退していることが原因とみられています。高齢化はもちろんのこと、農業の就業人口が減ってしまう理由としては、後継者がいない、安い農産物が輸入されるようになって収入が減った、などがあります。
農業は天候に左右され、労働時間も長く、作物を育てるのに必要な費用もかかります。国内生産される食料は全人口の約1%の人たち(その約60%が65歳以上の高齢者)によって支えられているという状況です。

日本の耕地面積は1961年の609万ヘクタールをピークに、宅地化などによる減少が進み、2010年には459万3千ヘクタールと約150万ヘクタールも減少してしまいました。農家の高齢化が進むとともに、耕作放棄地も増え続け、2010年には滋賀県の面積に匹敵する39万6千ヘクター ルにものぼっています。いちど耕作放棄地となり、荒れて人手が行き届かなくなった田畑を元に戻すためには大変な時間と労力が必要となります。
また、水田をはじめとする農地は食料を生産するだけではなく、さまざまな種類の生きものが棲める環境をつくり、洪水や土砂災害も防ぐという多面的な機能をもっ ています。その結果、私たちは住みやすい環境で安心して暮らすことができます。農水省の発表によれば、この多面的機能の価値は年間8兆2226億円(日本学術会議試算)にもなります。

2011年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故を契機として分散化エネルギーシステムへの転換が国の重要課題となり、中でも再生可能エネルギーの導入拡大が喫緊の課題となっている今、わが国の国土において広い面積を占める農山漁村では、再生可能エネルギーの供給拠点として有望です。資源を積極的に活用した再生可能エネルギーの導入は、地域におけるエネルギーの安定供給に貢献すると共に、分散型エネルギーシステムの構築にも寄与するものです。さらにこのような取り組みは農山漁村に新たな所得を生み出し地域活性化にも繋がる事が期待されます。一方、農山漁村において再生可能エネルギーの導入推進する場合、土地などの利用調整をどう行うか地域主体の取組をどう推進するか、農林業など地域産業・暮らしとの調和をどう確保するかなど、考慮すべき点はたくさんあります。

農地は農業生産の基盤として食料の供給や国土の保全や景観維持などの多面的機能の発揮といった役割を果たしている国内の限りある資源です。このため、農山漁村における再生可能エネルギーの導入拡大に当たっては、例えば農地としての復元利用が不可能な耕作放棄地の活用など、食糧生産や国土保全の機能を損なわず、わが国の国土が保有するポテンシャルを最大限発揮できるような土地利用を図っていく事が重要な課題であると考えています。

再生可能エネルギーを地域活性化に効果的に繋げていくためには、農山漁村が単に再生可能エネルギー発電設備に必要な土地の提供者となるにとどまらず、農林漁業をはじめとする地域の産業や暮らしとどのように有機的に連携していくのか、また、外部の事業者による取組みのみならず、農林漁業者などの地域の関係者が再生可能エネルギー発電事業にどのように関与していくかという点が重要です。当協会は、農山漁村における再生可能エネルギーと地域の活性化を結びつけていく為の先駆的な活動をしていきます。